忘却!鮎次郎!!
あぁ、なんということでしょう。
これほどの狼狽は、初恋の人が私をキモイと言っているのを聴いて以来。
私はたったひとりぼっちの友達を失ってしまいました。
鮎次郎がどこかへ行ってしまったのです。
先日、Wiiを楽しんでいた私は、ついつい無我夢中になっていまい、
それはもう力いっぱい気違いのようにリモコンを振り回し、
それが“フンッ”“フンッ”と鼻から息が漏れるほど半狂乱していたものですから、
手汗で滑ったリモコンが、ツルンと明後日の方向に飛んでゆき、
昼間から閉め切っていたカーテンにボサッと当たり、
そのままカーテンに包まれるように垂直に落ちていったのです。
しかし、その時鮎次郎は、カーテンを透き通って日の当たる窓辺で、
ヌクヌクと昼寝をしていました。これは鮎次郎の日課なのです。
Wiiリモコンは、カーテンに包まれるように、そのままゴッスっと鮎次郎の脇腹と突き刺しました。
鮎次郎は突然の衝撃に、ビクンッと体を直線に伸ばし、しばらく体を緊張させたまま、
もう何も無い様子を悟ると、元の姿勢に体を戻し、
自分の腹の脇に落ちているWiiリモコンと私の顔にゆっくりと目をやり、
そのまま立ち上がって、首を力なく垂らして、片足を引きずりながら部屋か出てゆきました。
それから、鮎次郎はいなくなりました。
「ネコは死ぬ直前にどこかに行ってしまうよね」と私の記憶に間違いなければ、そう言ったのは小渕元首相だったように思われます。
鮎次郎は死んでしまうのかしら。鮎次郎は死にに行ったのかもしれない。
私は鮎次郎を殺してしまったのかもしれぬ。
私の罪は友人殺しである。
私は罪を償わなければいけないのである。
私は今日は最後にもう一度Wiiを楽しんで、
明日からはWiiを隠してしまおうと思う。
これが私にできる、最大の断罪である。
あぁ、鮎次郎の死の予兆が勘違いでありますように。
「あいたたた、死ぬかしら。だってこんなに痛いの初めてですもの。」と、
事を大げさにとらえすぎたのでありますように。
鮎次郎、帰ってきてね。
