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つむじ風

特に夜なんかに街にいると、急に心が真っ暗になって、
苦しくて苦しくて、突っ伏して泣いてしまう事があります。と、
世のチヤホヤされたデザイナー達が言ってくれれば、
どんなに私は救われるだろうと、思いながら近所を散歩していたら、
偶然、鮎二郎を見かけました。

普段、鮎二郎を家以外で見かけることは、
又とないのですが、偶然出会った鮎二郎は、
家の近所の神社に向かう坂の途中で、
つむじ風に巻き込まれていました。

体中にまとわりつく木の葉やホコリ、砂などに、
バシバシバシとやられながら、
何が何か分からず半狂乱に右往左往跳ね回っていた鮎二郎は、
しまい目に鼻に小石をくらい、そのまま亀の子のようにうずくまり、
つむじ風が神社の方に帰って行ったその後も、
微動だにせず、坂の中に丸まって落ちていました。
私はそれを坂の下から傍観していました。

私も、よくつむじ風には巻き込まれます。
女の子と食事に行くとき、就職面接の時、遠足の日、運動会の日、
決まってそんな大事な日に巻き込まれます。

始めは、目の前で木の葉がクルクルと回り始めるので、
ついつい面白がって駆け寄ってしまうのですが、
私が駆け寄ったとたん、木の葉が砂埃を巻き込んで大きくなり、
私はその中に閉じ込められます。
私はその間中直立し、顔面に当たりツ続ける、木の葉や小石、砂埃を目を閉じて耐え、
しばらく、巻き込まれ続けた後、
気まぐれに次へ向かうつむじ風の中から、みすぼらしくなった私が誕生します。

おかげで、デートも、就職面接も、全て失敗。
みすぼらしい人間を認める人間なんて、この21世紀の近代社会にはいません。
つむじ風を喰らった私は、みんなに捨てられます。
つむじ風は悪魔の風。鮎二郎を返しておくれ!

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