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2008年07月10日


やれ、梅雨だ。やれ、夕立だ。と、
何かといいかげんな理由を付けて
毎日のようにしつこく雨が降るものですから、
足がムズムズして、痒い。

夕立で湿った靴下を引き剥がし、
ぶっきらぼうに足の裏を掻いても、
痒みの原因はまだ深く、
カカトのあたりをゴリゴリとグーでなすってみても、
コタツの角に強くなすりつけても、
骨の傍らからやってくる痒みには
足の裏の厚い皮膚が邪魔でどうしても届かず、
結局私は、痒い足をポーンと放りだして、
鮎次郎を枕に寝て耐えるのでした。


夕立で濡れた、文庫の端がふにゃふにゃに波打って固まり、
そいつのせいで、ぎゅうぎゅう詰めだった本棚から、はみ出た本が、
「えこひいき!」不幸な我が身の劣等感からか、私の前から姿を消しました。

部屋の角に積み重ねた雑誌の山の仕切りの奥で、
私に背中を向けて眠る鮎次郎に、
私は、想いやり、棚の上に隠しておいた大きなキノコを、
鼻の曲がった顔に覆いかぶせてやりました。
しばらくプルプルした後、
にゃーんと言って、鮎次郎はふらふらとそのまま外へ出てゆきました。

雨の日に、わざと部屋で体育座りをして、しとしとと雨の落ちる外を眺てると、
センチメンタルになっちゃった。

じりじりとした暑さで空気の歪む繁華街をとぼとぼ当ても歩いても、
湿気でぼんやりと滲んでしまった私の顔は、
見にくく崩れてしまっているので、誰にも気がつかれる事がありません。

立ち読みする漫画の端が、濡れた私の手の湿気を吸って波打ち、
その本をそのまま本棚に戻しても、叱ってくれる店員さんはいません。
店先に積まれた今月号のファッション雑誌を太ももに引っかけ、
ドサッと床に散らばっってしまた雑誌を「しまった」と拾う私に、
手を貸す店員さんもやはりいません。

雑誌を積み直して立ち上がり、ポカンと天井を見ていると、
虚無感が鼻にかかり、くしゃみが出たので、
そのままとぼとぼと、誰もの顔が滲んでしまった、
薄暗く霧のような雨が覆う夕暮れの繁華街をまた歩き始めました。


日陰で足を止め、ついと人気のない方に目をやると、
ビルとビルとの隙間のゴミ捨て場に、
鮎次郎にかぶせたキノコが、転がっていました。