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2008年08月21日

晩夏

『向日葵』
壁の塀から覗く私より背の高い向日葵は、
茶色くギュッと締まり、
おじいちゃんの首のように筋が浮き出た、
か弱い茎をかろうじて高く高く挙げ、
種だけの顔をだらりと垂れます。
パチンと私が手を叩くと、種は全部ポロポロ落ちてしまう。

種の側に転がる蝉。太陽は西。雨がまた降る。



『雲』
みんなが、私を嫌って笑ってる。
胃が、キリキリ舞う。
熊手で空を掻くような言葉が、
頭を空っぽにしてゆく。
もやもやの厚い雲が低く低く降りてきて、
首まですっぽり覆ってしまう。
蹴散らしてやる。

すっかり蹴散らされたのは、私。



『風』
暗くなり始めると、
涼しさが私の腹を撫で、
お腹がゴロゴロ言います。

おでこに汗が滲む、夕立かしら。





『猫』
窓の隙間から忍んでくる風が、
鮎次郎の鼻を触るせいか、
鮎次郎はテーブルの下に潜ってしまい、
縮こまって震えてます。
気の毒に思い、私は鮎次郎を引っぱり出して抱いてやりました。
ゴリゴリとなる手首。
歯を立て噛み付いて鮎次郎はどこかへ行ってしまう。

血 砕 ほにぇ




『テーブル』
薄明るい台所のテーブルの上に林檎が転がる。
季節は逆なので、まだ小さい小ぶりの林檎。
仏間に添えられた、少し萎んだ林檎を取ってきて横においてやると、
なんだか気が合うみたい。

仲良しかしら。




『茄子』
乳母車の上に、茄子が並ぶ。
どこへとも知れぬ、持ってゆく。
作っては、作っては、運ばれてゆく。
茄子を受け取るしわしわの手。
しばらくの、おしゃべり。

大きな山の麓を、祖母が、歩く。




『霧』
雨上がりに、山の巻く白いマフラーがオシャレ。
おじいちゃんの手ぬぐいのように、かわいいんですもの。
私なんてちっともオシャレじゃありません。
かなわないんです。
柄の使い方も、スラックスの履き心地も、
手ぬぐいの結び方も。

風が吹く、流れれて、小さな繊維はチリチリに、霧が散る。